祭りの後か後の祭りか

先日行われたペーパードリップの競技会に参加してきました。
連日の徹夜での酷い疲れと明けてすぐの業務に忙殺され、
ほとんど考える暇もありませんでしたが少し落ち着いたので振り返ってみました。

結果はともかく内容があまりにも悪くて、悔しいというよりは審査員の方や
応援してくれた方などにただただ申し訳ないというものでした。

レギュレーションの確認不足というか、ちょっとした勘違いから、
時間いっぱい使っても準備が整わないという情けない状態、
そして汗だくで息切れしたまま競技を開始しました。
「準備始めます」の声から梱包を解いてるような、
そんなアホーな競技者は、当たり前ですけど他にはいませんでした。

スタートポジションが整えられてないばかりか
テーブルの上にあれやこれやが無い状態でしたので、
頭の中は次の事、まず器具がどこにどれくらいあるのかチラチラチェックしながら、
無い場合は行程とプレゼンの変更をどうしようか、等を考えながら
ほとんどアドリブにも近い形で抽出&プレゼンを行いました。

仕事は「段取り」が一番です。そんな状態でまともなサービスができるわけがありません。
「万全の体制でお客様をお迎えする」という基本中の基本の状態を作れなかった時点で
サービスマンとしてはアウト、最初の段階で「競技」は諦めて、
できる範囲でサービスに徹すれば失格にはなってもまだ良かったのかもしれません。

それでも競技、タイムやプレゼンが頭から離れず、とにかく必死だったので
細かい内容はよく覚えてはいませんが、規定以内のタイム内で失格にはならなかったし、
見ていた人からは「息切れはともかくプレゼンは意外にまともにだった」と言ってもらいましたが
実際どれくらいのサービスができたのか、どんな味が出せたのかは作った本人が一番わかります。
どちらも20点くらいでしょうか。

プレゼンは場当たり的だったと思うし、少し変わった抽出法やアレンジドリンクを作ったのですが
それらがただ奇をてらっただけでなく、何のためにそれを採用したのか、ネガティブな部分を押さえるのに何をしたのか、
一番肝心なそれがお客様が感じる「おいしさ」にどうつながっていくのか、その説明が十分にできませんでした。
とはいっても、アレンジは本葛を使ったドリンクで、弱火でひたすら練りまくる(これがとにかく時間かかる;)と
とても滑らかで美味しいのですが、その時間も十分取れず、きちんとした美味しさは出せていないはずなので
そんなものをどれだけプレゼンしても空しいだけなのですが。

閉会式の際の審査委員長の総括
「競技者の皆様、審査員を相手に本当のサービスができましたか」
という言葉が胸に突き刺さりました。
状況がどうであれ、相手が誰であれ、フルサービスを看板に掲げる喫茶店のマスターが、
きちんとしたおもてなしが出来なかったというのはこれほど恥ずかしい事はありません。
すべてはスタートで躓いたことが原因なのですが
昔「職人は段取りと片づけができて一人前」と言われたのを思い出しました。
悲しいけどいまだ半人前だったという事でしょう。

レギュレーション、採点基準は多岐にわたります。
改めて一つ一つ見ていくと本当によく出来ているなと感心します。
すべての項目が「お客さまが感じるおいしさ、心地よさ」につながっています。
同じ事は修行先でさんざん言われ学んでいたはずだし、お店でも日々意識して取り組んでいるので
そこは当たり前にできるだろう、という思い上がりがあったのでしょう。
どんな状況でもそれを出せるのが真のサービスマンと思います。
意識せずとも、いかなる状況でも完璧なサービスが行えるよう体にしみ込ませなければいけません。

競技会はいつも観戦する側で、競技されてる方々は凄いな大変だなと思っていましたが、
やはり見るのとやるのとでは見える世界は違いました。
業務を抱えながら一人でやる大変さと若干の無謀さも感じましたができればまた参加したいなと思いました。
リベンジというわけではなく、ただもう一度審査員の方々にまともなサービスをしたいなと。
付け焼刃、やっつけで参加する事には意味がないので機会があれば次はしっかりと準備をして臨みたいと思います。
苦いけど良い経験、勉強になりました。機会を与えてくれたT氏に心から感謝します。

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