海外(グアテマラ)

グアテマラ 8(観光 アティトラン湖)

久しぶりに。

中米紀行の続きです。
今日は観光のお話でコーヒーは出てきません。

アンティグアのホテルを出てパンアメリカンハイウェイを北上し、
一路アティトラン湖を目指します。


道沿いのお店で朝食を。
日本の峠のサービスエリアと雰囲気は全く同じです。
(火山の国だからか、グアテマラはどこに行っても日本の田舎の様な感じで、
初めてなのにどこか懐かしい、不思議な感じのする国でした)


入口にあった果物屋さん。
1歳くらいのお店の子がお母さんの目を盗んで商品の苺を食べていたのが可愛かったです。


途中にある展望台から望むアティトラン湖。
「世界一美しい」呼ばれている湖です。
対岸に見える山はサンペドロ山(3020m)とトリマン山(3158m)。


パナハッチェルからボートで30分。
対岸のサンティアゴアティトランに向かいます。


標高は1500m程度。
日差しは強いものの過ごしやすい気候です。


良い天気。良い気持ち。


港に着きました。


港から山手に向かって、ずらーーーーっと土産物屋が並んでいます。
そしてここでもやはり、どこに入っても滅茶苦茶ふっかけられます(苦笑)。


こちらでの価格交渉は、値札や言い値の3分の1を上限として始める、
くらいの気持ちで望んだ方が良いかもしれません。


土産屋通りから一本路地に入ると地元の買い物客で賑わう市場がありました。


観光客はおらず、土産物屋もありませんが
個人的にはこちらの市が面白かったです。


グアテマラは織物が有名です。
現地の方も皆、色とりどりの美しい衣装を着ています。


大中小のイリコ(?)湖で取れたものでしょうか。
買って帰りましたがまだ食べてません。
今度味噌汁にしてみます。


エビや魚。魚介が豊富です。



お肉屋さんも多い。


トゥクトゥクが沢山走っています。

商魂逞しいキーホルダー売りの少女にボラれ後、パナハッチェルに戻ります。

山の天気は変わりやすいですね。
帰りは時化ていました。

パナハッチェルで昼食。

最高のロケーション。


特大サンドイッチ。
お茶のように見える飲み物は「JAMAICA(ハマイカ)」というハイビスカスティーです。
中米では食事の時は大抵ビールか、これでした。
お店によって濃さや甘さは違うものの、甘酸っぱくさっぱりとした味わいで食事にも良く合います。
さらにノンカフェインなのでコーヒーを飲みすぎた後でも美味しくいただけました。

今回の旅ではコーヒーばかりでなく、しっかりと観光もしました。
生産国では農園や精製所を回ることももちろん大切ですが、
それと同じくらいにその国の歴史や文化、そこで暮らす人々の事を良く知って、
自分自身がその国のファンになる事、そうやってお客様にお届けする商品に
もっと愛着を持つ事が重要だと感じました。

パナハッチェルは観光地としてもとても素晴らしい場所でした。
機会があればまた行きたいと思います。
皆様もぜひ行ってみてください。
その際、事前にこの本を読んでから行くとより深く楽しめると思います。
→『トウモロコシの先住民とコーヒーの国民 人類学が書きえなかった「未開」社会著:中田 英樹』

中米産地視察 グアテマラ7 (ウェットミル)

ウェットミル(精製所)にも行ってきました。

先日紹介したドライミルに対してウェットミルは
水を使って豆の選別や運搬、発酵処理等を行いながら、
主に収穫した果実からパーチメントコーヒーに仕上げるまでの工程を行う精製所です。


夜中でも、続々と収穫されたコーヒーチェリーが運ばれてきます。


すでに一部発酵が始まっているのか、アルコール臭を含んだ甘ったるい香りが漂っています。
(熟れ過ぎたブドウや少し傷んだ果物の「むわっ」としたあの香り)


皮むき機で皮と果実を除去されたチェリーは


比重選別を受けながら水路で発酵槽に送られて
(大事な所なのになぜか発酵層の画像がない・・・)
酵素の力で落ちやすくなった種の周りのヌメヌメした粘液質を洗い流した後、
適度な水分量になるまで乾燥して袋詰めされます。


こちらは天日乾燥。
「パティオ」と呼ばれるコンクリートの乾燥場の上に広く並べ、
適宜かき混ぜながら乾燥させていきます。
他にドラムを使った機械乾燥もあります。


棚干しで寝かされるパーチメントコーヒー。


こちらのミルにはドライミルの設備も併設されていました。
チェリーから生豆まで仕上げる事も可能です。
(グアテマラではヘルメットの使い方が日本と少し違う様です)


最後は必ずカッピング。

ウェットミルは今回の旅の中で何箇所か回りましたが、
施設による設備の充実度や衛生管理の度合いに違いを感じました。
豆の品質もそれに伴って良かったり、悪かったり。

傾向として、比較的質の良いチェリーが取れる地域の精製所は
清潔で設備も整った所が多いように感じました。
そこで作られた高品質の豆は高値で取引されます。
得られた利益で設備投資を行いさらなる品質の向上を図る、
という好循環が出来ているのかもしれません。

一方、そこそこの品質のチェリーしか取れない地域のミルはその逆で、
旧式の設備を使い、少し非効率的なやり方でやっているように見える所もありました。
衛生環境もけして良いとは言えず、そういう所の豆は品質もやはりそこそこで、
残念ながら買いたくなるような良い物に当たる事もあまりありませんでした。

そういった状況を中々変えることが出来ない理由は、
色々な部分から何となくですが伝わってきます。

 「我々農家や農協は(経済的に)続けていけるかいけないかのギリギリの所でやっている」
といった話を伺いながらカッピングをしていると、なんだかコーヒーもしょっぱくなり、
それと共に色々な感情が浮かんできます。

日本で行うチェックからは豆の違い、単純な品質の「差」しか感じ取る事ができていませんでしたが、
今回産地に行き、少しは背景が分かった上で行うカッピングからぼんやり感じたのは
単なる差や違いを超えた、もっと大きな「格差」のようなものでした。

中米産地視察 グアテマラ6 (農園)

グアテマラ編の続きです。

いよいよ農園に向かいます。


農園の入口でピックアップトラックに乗り換えました。
この車で未舗装路の急斜面を登って行きます。
(場所によってはかなり揺れるので車に弱い方は注意が必要です)


農園からの眺望はどこも遠くにグアテマラの火山郡、
眼下にアンティグアの町並みを望む絶景でした。


太宰府で言うと四王寺山に登るくらいの感覚ですが、
元の標高が高いため、少し登っただけでこの高さ。


コーヒーチェリーとご対面。


(今年の出来は?)


コーヒーの実です。
この白い皮に覆われた種の中身がいわゆる「コーヒー豆」と呼ばれる部分です。
果肉の部分はとても薄く量はそれほどありませんが、食べるとさとうきびの様なシンプルな甘さがあります。
今回の旅の中で色々と食べ比べてみました。
品種よりも熟度による甘さの違いが大きいようです。


こちらは「イエローブルボン」という品種です。
赤い実のイメージが強いコーヒーチェリーですが、このように黄色に熟すものもあります。
レッドの畑の中に突然イエローが生まれたり、その逆もあったりするそうで、
「基本的には赤も黄色も同じ品種、色以外に大きな違いは無い」
という意見もあります。
果肉の味に関して言えば、赤と黄色で少し違うように感じました。


コーヒーの花です。
可愛らしい姿。甘く、可愛らしい香り。


農園の中で一番高い所にある区画です。


整然と並ぶコーヒーの間にシェードツリーと呼ばれる木が植えてありました。
この木が適度に日陰を作って強い日差しからコーヒーを守ってくれます。


植えてあったのは「ベビーブルボン」という品種です。
花も小さくとても可愛いらしい木でした。
大きくなっても腰の高さくらいにしかならないそうです。

グアテマラでは他にも数箇所の農園を回りました。
初めてのコーヒー産地、初めてのコーヒー農園。
思うところは色々とありましたがそれはまた追々。

中米産地視察 グアテマラ5 (ドライミル2)

ドライミルの続きです。

豆の精製を見た後、パーチメントコーヒーの保管倉庫にも案内してもらいました。


倉庫の片隅にぽつんと置いてある焙煎機で、おじさんが従業員用のコーヒーを焙煎していました。
これは「ディードリッヒ」というアメリカのメーカーの焙煎機(の最新モデル)です。
ディードリッヒは今回の旅の中で良く見かけました。
「お前はディードリッヒをどう思う?」
という質問も、何度か受けました。流行っているのかな(?)
他の方が倉庫の説明を受ける中、つい焙煎に見入ってしまいました。


けして小さくはない焙煎機を「ぽつんと置かれていた」と表現するのには訳があります。


ちょっと引いて見てみましょう。


もっと引いてみますね。


そう、焙煎機が小さいのではなくて、この倉庫がとんでもなく広いのです。


『デカい』ただそれだけでカッコイイ・・・それが男(小学生レベル)って奴です。


ずっと興奮しっぱなしでした。


あ、ちゃんとカッピングもしましたよ。

中米産地視察 グアテマラ4 (ドライミル)

農園の前にミル(精製所)へ行きました。
コーヒーのミルには大きく分けて二つあります。

・ウェットミル
水洗処理等で水を使う精製所です。
水路で豆を選別したり、機械や発酵槽などを使ってコーヒーの実から皮や果肉を取り除き、
殻付きの種(パーチメントコーヒー)に仕上げたりします。

・ドライミル
水を使わない乾燥所や精製所です。
ウェットミルで処理されたパーチメントコーヒーを保管、脱穀して生豆を取り出し、
袋詰めして輸出可能な状態にしたりします。

上記2つの機能を兼ね備えたミルもあります。
今回訪れたのは大きなドライミルでした。
中はまさに大きな工場で、機械の出す騒音、そして粉塵が酷いです。
対策のため従業員の方は皆耳栓とマスクをしていました。


巨大なトレーラーで続々とパーチメントコーヒーが届きます。



届いたパーチメントコーヒーはラインに送られ、、



脱穀されてから様々な選別をかけられます。


まずは比重選別。
傾斜がついた大きな振動板で豆を重量の軽いものと重いものとに分けていきます。



↑重い豆。


↑軽い豆。


↑重。


↑軽。

とてもシンプルな選別方法ですが、馬鹿にできないくらいしっかり選別されていました。

その後電子選別機にかけられるものも。

巨大な選別機。
選別機、というよりは選別部屋。
迫力があります。


こちらは日本製の選別機。コンパクトながらも超高性能。
お米選別の高い技術が応用されているそうです。

欠点豆がきれいに弾かれています。


オプションでハンドピック(ハンドソーティング)も選べます。
やはり最後は人の手だと思います。


選別後、麻袋やバキュームパックに詰められて輸出されるのを待ちます。

今回訪れたミルは機械化が進み、非常に洗練された選別が行われていました。
グアテマラのコーヒーは他の生産国に比べてみても品質の平均点が高く、
どこか優等生的な印象がありました。
味はもちろん外観も素晴らしく、日本でハンドピックしていても
感心するくらい綺麗な状態で届く事が多いのですが、
今回その理由が少し分かった気がしました。
またコーヒーの品質の底上げに日本の技術が貢献している事も嬉しく感じました。

http://www.tokado-coffee.com

中米産地視察 グアテマラ3 (アナカフェ)

フェデコカグアを出て次にAnacafeという生産者組合にお邪魔しました。
アナカフェは国内でのコーヒーの研究・指導だけでなく、
世界中でグアテマラコーヒーのプロモーション活動も行っているので、
私達消費国側にも良く知られた大きな団体です。


玄関前の花壇にコーヒーの木が植えてあって、立派なコーヒーの実が実っていました。
都会とはいっても標高が1500mもあるので、普通に軒先でコーヒーが育つ様です。
「人生初」の産地でのコーヒ-チェリーとの対面が、農園ではなくこんな町中とは。
産地に来た、という実感は湧きましたが、少し複雑な心境です。

オフィスでコーヒーをいただきながら活動報告を受けました。
内容は中米で猛威を振るっている「サビ病」というコーヒーの病気、
その被害状況と今後の対策の話がほとんどでした。
グアテマラも大きな被害を受けて生産が落ち込んでおり、
様々な策は講じているものの、直ぐに良くなる訳ではなく
予断を許さない状況が続いている、との事でした。
お通夜の様な暗い雰囲気に、本当に大変な様子が伝わってきます。
正直、我々の接待どころではないのでしょう。
何だか申し訳ない気がしました。


気を取り直してラボに向かいます。
部屋がいくつもあり、何やらいろんな機器が置いてありました。


ずらりと並んだサンプル用の焙煎機。


この2台以外にも、他の部屋には大型の焙煎機や抽出機が何台もありました。


やはり色々な産地のコーヒーをカッピングさせていただきました。
産地別の特徴を丁寧に教えてもらいながら、というのは午前中と同じでしたが、
こちらではただ普通に飲み比べるのではなく、
 「Aを飲んだ後にDを飲んで」
 「Bを飲んだ後にCを飲んで、その後にAを飲んでみて」
と、飲む順番まで細かく指定してもらいながらのカッピングとなりました。
感覚の「慣れ」や錯覚、また言葉による誘導等も利用して
特徴や違いがより明確に感じられるようにする手法で、
新米カッパーのトレーニングにも使っているそうです。
とてもわかりやすかったので、現在弊店のコーヒ-教室でも工夫して取り入れております。


レクチャーしてくれた、焙煎及びカッピングの責任者と記念にパシャり。(顔のむくみ・・・)
アナカフェでは年間を通して膨大な量のサンプルを焙煎しています。
どのように、またどういった事に気を使いながら焙煎しているのか、図々しくも教えていただきました。

夕食はホテルのレストランへ。
 

 
西洋料理。
美味しいお肉でした。

部屋で仮眠を取り、朝一の便で産地へ向かいます。

http://www.tokado-coffee.com/

中米産地視察 グアテマラ2 (フェデコカグア)

続きです。

フェデコカグアの事務所では全国から届いたコーヒーの品質検査を行っております。


パーチメントコーヒー(製品になる前の殻のついたコーヒー豆)。

生豆は濃いグリーン。


パーチメントコーヒーの殻を取る機械です。


こちらはサンプルロースト用の小さな焙煎機。

収穫の走りの時期でまだ数は少ないものの、色々な産地のコーヒーをいただきました。
全部グアテマラ産のコーヒーですが地域によってそれぞれ特徴が違っていて面白いです。
この時飲んだ中では「アカテナンゴ」という地域のコーヒーが気に入りました。


カッピング後、地下の食堂で昼食をご馳走になりました。
他にもスープやトルティーヤ、フルーツなどなど。
中米の料理というと刺激的な物を想像していましたが、意外や意外、
思っていたよりもずっと優しい、素材の味が良く感じられる味付けでとても美味しかったです。
日本を出てからずっと機内食やファストフードなど、濃い、アメリカンな食事ばかりだったので、
久しぶりの家庭的な味わいにとても癒されました。

中米産地視察 グアテマラ1 (グアテマラシティ)

ロスを出て飛行機で約4時間。
グアテマラの首都、グアテマラシティに向かいます。

深い渓谷の中に突如だだっ広い街が現れます。
グアテマラシティは地図上では北緯14度と赤道に近い所にあるものの、
標高が1500mと高いため、とても涼しくて過ごしやすい町です。
空気が薄いからなのか、運動不足なのか、話しながら歩いていたり、
走ったりすると少し息が上がりました。

中米でよく見かけたバスです。
写真には地味なものしか残っていませんでしたが、結構派手派手なのが走っています。
(タイのトゥクトゥクの巨大版のような感じ)
面白そうなので一度乗ってみたかったのですが、
頻繁にバスジャックが起こって危なすぎる、との事で断念しました。

まずは「FEDECOCAGUA」という農協団体の事務所へ向かいました。

入口にショットガンを持ったおじさん達がいてビビリました。
グアテマラでは商店やオフィス等、お金が置いてありそうな場所には大抵銃を持った警備員がいます。
それだけ強盗が多いという事なのでしょう。

大きなショッピングモールで建物の写真を撮っていたら警備員が飛んできて
「○※!!○※!! %@&※○+△!! 」
と、えらい剣幕で怒られた事もありました。
強盗の下見(侵入ルートや警備体制のチェック)防止のため
撮影禁止になっている場所も多いそうです。

グアテマラは人も気候も穏やかで本当に素敵な国ですが、
残念ながら治安だけはあまり良くない様です。

つづく

中米産地視察

こんにちは。
店主の後藤です。
年明けから約2週間のお休みをいただき中米の産地視察に行ってきました。

コーヒー産地には死ぬまでに一度でも行く事ができたら、
くらいの気持ちでいたので、思っていたよりもだいぶ早く行くことができました。
誘っていただいた恩師、留守中お店や家を守ってくれたスタッフと家族に感謝します。

実際に行ったコーヒー産地では、勉強中本や何かで見た・聞いた話の確認、といった面が強かったものの、
やはり行かないと分からない事や、心動かされる事も沢山あって、多くの収穫がありました。

それら全てを言葉や画像で伝える事は難しいかもしれませんが、
備忘録のため、また自分の考えをまとめる為にも、
現地でfacebookでアップしていたものも含めて
産地の様子を少しずつアップしていきたいと思います。



 グアテマラ富士(アグア山 3766m)