「ブン」と「ギシル」 二つのコーヒー

私たち日本人が一般的に良く知る珈琲はコーヒーチェリーの「種」の部分を加工したものです。
イエメンでは『ブン』と呼ばれています。
それに対して種ではなく実の部分、乾燥~脱穀して種を取り出した際に出る
乾燥した「チェリーの実」を煮出して飲む『ギシル』というコーヒーがあります。
このギシルコーヒーを先日イベントの打ち合わせで珈琲美美さんに行った際にふるまっていただきました。

話には聞いていたのですが飲むのはもちろん見るのも初めてです。
現地と同じ手法で入れていただきました。

まずドライフルーツのような乾燥チェリーをじっくりと炒めて香りを出していきます。
香ばしい香り。食べるとほんのり甘酸っぱくておつまみにでもなりそうです。


これに水とたっぷりの砂糖、そしてジンジャーやカルダモン、
クローブやシナモンといったスパイスを入れてじっくりと煮出していきます。
この時に入れたスパイスの全てが「本物」。
先月マスターがアフリカに行った際に買って帰ってきたタンザニア産の乾燥生姜など
それだけでかなり貴重と思われるものを惜しげもなくどかどか投入していました。
(生姜に付着していたタンザニアの土が幼い頃よく遊んだ鴻巣山の土と同じ匂いがして
懐かしい気分、地球は一つ、繋がっているんだなと変なところで感動しました)

煮立たせては冷ましてを何度も何度も繰り返しじっくりと成分を抽出していきます。
まさにスローコーヒー、炒める所から飲むまでに1時間以上もかかるのです。


そうして出来上がったギシルコーヒーはコーヒーでもない、紅茶でもない不思議な味。
生姜が利いていて体が温まります。
予想していたものよりかなりのおいしくて驚かされました。

初めて体験する味わいなのにどこか懐かしい感じがします。
人間のルーツとコーヒーのルーツは地理的、歴史的に重なる部分があって、
コーヒーが人間を(人間の脳を)作ったという話もあるくらいです。
「DNAに刻まれた、魂に染み入る味わい」
いつも「ブン」を飲んだ時に感じるこの感覚を「ギシル」にも感じました。
我々の遠い祖先もこのギシルコーヒーを飲んでいたのではないでしょうか。

種が加工原料として世界中に広まったブンと違って
より食品に近いギシルは様々な問題から今までほとんど流通しておらず
現地でないとなかなか味わえませんでした。
しかし今後は日本でも飲めるようになるそうです。
古くて新しい飲み物としてブームがくるかもしれませんね。

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