Triangulation

「Triangle test」の方が分かりやすいかもしれません。
日本語では「三点比較法」と言います。

3つの検体のうち1つだけ違う種類の物を混ぜ、その仲間はずれを当てるというもので、
2種類のサンプルに検証者が識別できるほどの差があるのか無いのかを判定します。
コーヒーに限らず食品や飲料の官能評価で広く用いられています。

似た内容ものに「Matched pair test」という、
検体の中から対になった同じ種類のサンプルを選ぶ試験もあります。
どちらもシンプルで一見すると簡単なゲームのようにも見えますが
実際やると色々と官能評価の奥深さを感じる事ができ、
ほんと良くできたテストだなと感心させられます。

「違いが分かる」というのは官能検査において一番のベースとなる大切な資質です。
量的にも質的にも、香味の違いが分からなければ何も語る事ができません。

それと共に「同じものを同じと言える能力」これも重要ではないかと思っています。
コーヒーをカッピング形式で評価する場合、厳密に言えば同じカップは一つとしてありません。
コーヒー豆の一粒一粒は微妙に味が異なるため、全てのカップは必ず「違った」ものになります。
それでも同じコーヒーだと断定するにはある一定の線引きと、
そのための十分な説得力を持った根拠が必要となります。
「違いが分かった上で同じであると断定する」こちらの方がはるかに難しく、勇気がいる事だと感じています。

試験官の評価能力については、持って生まれた資質(最低限のものは必要)よりもそれまでの経験の方が影響は大きいでしょう。
麻薬捜査犬もトレーニングしなければただのワンコです。
「犬の様な嗅覚を持った天才」より「きちんとトレーニングを積んだ凡人」の方が絶対的な能力は上だと思っています。


コーヒーのカップテイスティングは色を見る事ではありません。
検査は当然ブラインドで行われますが余計な主観が入らないよう、また試験での不正を防ぐために
私の勉強したバッハのトレーニングセンターやSCAAのラボには色の識別ができなくなる特殊なライトがついており、
トレーニングや試験は上の写真の様な環境の下で行われます。

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コメント

  1. makira より:

    美味しかったです★
    今日購入したコーヒーを早速いただきました♪
    後藤さんのような敏感な舌と鼻を持ち合わせていないので、後藤さんの書かれた説明文を
    読みつつ味わいました。
    とても香り良く、ゆったりしたコーヒータイムになりました★
    またお邪魔します!
    ありがとうございました。

  2. フクマメ店長 より:

    ありがとうございます
    昨日はご来店ありがとうございました。

    感じた味わいを私の拙い文章で表現するのは至難の業ですが、
    コーヒーはお客様が感じたものが全てだと思っています。
    良いコーヒータイムをすごされたと聞いてほっとしております。
    これからもお客様の「ほっと一息」のために精進してまいりますのでよろしくお願いします。

  3. 迷える子羊 より:

    こつこつと…
    テイスティングなんですからやっぱり飲まないと…と思います。
    食に携わるのならば、味覚・嗅覚を常に鍛える事が何よりお客様のため、
    自分の為だと思います。
    日々の努力が何よりですね。

  4. フクマメ店長 より:

    コツコツ、ですね
    せめて香りだけでも・・・
    って記事に他意はありません(笑)

    我々にとっての味覚や嗅覚の鍛練は義務であって、努力ですらないかもしれません。プロのスポーツマンや、自衛官、救急隊員が坦々と体を鍛えるのと同じ感覚でしょうか。

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