
今年も「ローストマスターズチームチャレンジ」に参加しました。
ローストマスターズチームチャレンジとは
日本スペシャルティコーヒー協会のローストマスターズ委員会が主催する焙煎の競技会の一つです。私や弊店スタッフが出場した「ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ」が個人戦ならこちらは団体戦。日本を6つのエリアに分け、各地域のロースターがチームを組んで共同で一つの焙煎豆を作り上げ提出、秋のSCAJ会場で審査されます。
と、一応競技会の体を成してはいるものの内容はワークショップに近く、順位を付けてそれを競う事よりも地域のロースター同士の交流や互いの技術の研鑽が大きな目的となっています。競技結果の商業的な利用が禁止されている珍しい競技会ですが、そこからもこのイベントの趣旨がうかがえます。
「エスプレッソブレンドチャンピオンシップ」→「ローストマスターズチャンピオンシップ」→「ローストマスターズチームチャレンジ」と名前を変えながらも毎年開催されています。私は2008年に初めてエントリーして今回が9度目の参加となります。
チームカラー
現在は北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、九州と7つのチームがあります。毎年素材もテーマもチームメンバーも変わるのですが、各チームなんとなくチームカラーがあるのが不思議で面白い所です。毎年必ず上位に入る実力派のチームもあれば、九州チームはのぼせもんが多いのか、伝統的に「勝ち」よりも価値、「ノリ」にこだわり、毎年普段できないような新しい(ふざけた?)提案、検証、チャレンジを行っています。焙煎にもそれぞれエリアの特徴のようなものがあり、九州チームは特別狙っている訳でもないのにいつも焙煎度合いが他の地域に比べて浅かったりします。
テーマ
毎年決められたテーマがあり、それに合わせて焙煎だけでなく抽出やエイジングの検証等も徹底して行います。毎年本当に色々な発見があり勉強になります。
今年のテーマは原点に返って「焙煎そのもの」にフォーカスをあてたもので、素材であるブラジル品評会入賞豆の良さを最大限引き出してください、というものでした。抽出による差がつかないように、毎年任意だった一般審査用の抽出方法も今年はレギュレーションで細かく決められ全チーム共通になっています。
チームメンバー
今年の九州チームのメンバーです。
・極東ファディ株式会社 焙煎工房(福岡・北九州市)
・石本珈琲(福岡・福岡市)
・オオカミコーヒーロースターズ(福岡・福岡市)
・ミマツスペシャルティコーヒーロースター(福岡・福岡市)
・ZelkovaCoffee(福岡・うきは市)
・珈琲蘭館(福岡・太宰府市)
・豆香洞コーヒー(福岡・大野城市)
・南阿蘇珈琲(熊本・南阿蘇村)
・AND COFFEE ROASTERS(熊本・熊本市)
・ワンダフルワールドコーヒー(宮崎・都城市)
ミーティング
初日:顔合わせ
一回目の顔合わせは弊店焙煎所で行いました。まずはあいさつ代わりに一人ずつ、課題の生豆を「ディスカバリー」という半熱風式のサンプルロースターで焙煎します。最後に全員でカッピングしながら豆の素性を確認し、今後のスケジュールを決めました。
二日目:使用機の選定
2回目の会合は美松コーヒーさんの新しい焙煎所を借りて行いました。それぞれいくつかの焙煎機で焼いてきてもらった豆を皆でチェックして、最終焙煎を行う機械の選定を行います。
九州チームは毎回メンバーも多く、それぞれ使用している焙煎機もバラバラです。
・フジローヤル (直火)
・フジローヤル (半熱風)
・マイスター(半熱風)
・ディードリッヒ (半熱風)
・ギーセン(半熱風)
・プロバット (半熱風)
・レボリューション(熱風)
・ペトロンチーニ(熱風)
・ローリングスマートロースター(熱風)
今回もバラエティに富んだラインナップの中から本番提出用の豆を焙煎する釜を選ぶことが出来ました。熱風式の焙煎機が3種類もあるのが今年の特徴です。
今回の課題のブラジル豆はなかなか懐が深く
A 「カラメル化による奥行きとボリューム感のある複雑な香味と甘さ」
B 「クリーンカップと明るさ、わかりやすいシンプルな甘さ」
大きく分けるとAとB二つの山があって、審査の基準や方法を考えてもどちらを選んでも良さそうな感じです。
実はこの検証の中で全員の印象が一番良く、点数を付けても最も高かったのは半熱風機を使ったAの方向性の豆でした。
しかし私たちが最終的に選んだのは熱風焙煎機によるBのアプローチです。
理由は単純で
「熱風式を使ってみたかったから」
Bのアプローチと熱風焙煎機は相性が良さそうでした。
そして3種の熱風焙煎機の中からは「ローリングスマート」を選びました。
理由は
「スマートを使ってみたいから」
さらに
「宮崎に行ってみたいから」
です(笑)
最初から結論ありきの議論でそれで良いのか、といった感じですが、
たぶん、良いんです。
前述した通り、このイベントの趣旨は優劣をつける事ではありません。結果よりも過程、検証の中で何を得るかの方がよほど大切で、私たちはそこを目指すべきだと思いました。
という事で本焙煎はイベント本番8日前、宮崎県からは初の参加となる「ワンダフルワールドコーヒー」さんの焙煎所にて行う事に決まりました。
(後半に続く・・・)