自分で自由に焙煎プロファイルを描いてコーヒーの味をデザインすることが出来る「Panasonic The Roast Expert サービス」

「The Roast Expert」

製品の開発や現行サービスのプロファイル作りでお手伝いをさせていただいるパナソニックの「The Roast」に、待望のプロファイル作成機能が付いた上位モデルが追加されました。

・The Roast Expert サービス

専用アプリを使ってご自身で自由に焙煎プロファイルを作製する事ができます。

現行モデルの「Basic」との違いは使えるアプリのみで、使用する機体は同じです。The Roastは家庭用として開発されたマシンですが、業務用の「廉価版」などではけしてなく、元々プロ向けの高性能サンプルロースターだったものを現行サービスの実現のためにカリカリにブラッシュアップしてチューニングした、内容的にはむしろ業務用の「上位機種」となります。

コーヒーの焙煎に興味のある方や、すでに焙煎をされているマニアの方の自宅焙煎はもちろん、業務用のサンプルロースターとして、お店や工場などプロの味づくりの現場での使用に十分耐えられる(どころか、そこが想定される主戦場)と思います。また使い方次第では、生産や開発、流通の現場等でも大活躍する事でしょう。

25万円という価格は「安い」

「Basic」の10万円に対する「Expert」の25万円という価格。The Roastを「コーヒー豆を焼くだけの調理家電」として捉えると、比較対象は炊飯器やホームベーカリーになるのでしょうか、25万円を「高い」と驚かれる方がいてもおかしくはない気がします。

ただ「キッチン家電」ではなく、プロが仕事で使う「映像ツール」や「画像ツール」、音楽でいう所の「楽器」や「編集ツール」等と同じジャンルのもの、コーヒーの味わいを緻密にデザインして再現できる「味作づくりのための道具とソフト」として考えると全く違った世界が見えてきます。

そもそもBasicの「10万円」というのが、日々業務用マシンを使って、同じくらいに高い精度でもって味を設計している私達からすると「!?」という衝撃の価格なのです。製品の作り込みや性能を考えると、このExpertでやっと少しだけ‘適正価格’に近付いたのかもしれません。実際一年間仕事でも使い倒しましたが「業務用機として考えると25万円でも信じられないほど安い」というのが個人的な感想です。

使い勝手の良さ

実は開発のかなり初期の段階で、ベースとなった機体とは温度管理の考え方を根底から変えて(FF→RR、車でいえば駆動方式の変更のように)、私自身がプロファイル作りをし易いよう温度制御の仕組みを大きく作り変えてもらっています。品温重視で味づくりを行っているタイプの焙煎人(日本人に多い)にはかなり使いやすい仕様になっていると思います。

「攪拌羽のない完全熱風式の超小型釜」という特殊性から風量の設定に少しコツは必要なものの、そこに慣れれば普通のサンプルロースターを使うのと同等以上に高い精度と再現性でもって焙煎を行う事が可能です。すでに焙煎を組み立てる事が出来るプロの方には直観的に、そしてとても楽に味づくりや細かな修正を行う事が出来ると思います。

「あのマシン」との違い

兄弟機とも言われる海外製のマシン、元が同じなので当然見た目はそっくりです(実際マシンに触れてみると結構な違いは感じますが)。The Roastの発表以来、その機械との「違い」を色々な方に聞かれてきました。だけど、ごめんなさい。私はその海外機の‘現行モデル’の性能や使い勝手の詳細を知りません。同じではない事は分かっても、正直何が、どれくらい違うのかまでは良く分かりません。

ただ、開発初期にベース機として使用していた頃のプロ向けモデルと比べれば、そこには単なる「海外製」と「国内製」という以上の違いがあって、実際に使えるパワー(豆に入るカロリー)の余裕や、操作性、安全性、耐久性、個体差の小ささや本体そのものの品質・質感など、細かい部分の一つ一つが私のリクエスト、そして厳しいパナソニックの品質基準に準拠する形で格段に向上しています。先に書いた根本的な制御形式の違いも含めて、見た目はともかく中身だけ言えばほとんど別物と言っていいくらいの仕上がりになっていると思います。(『リャマ』と『アルパカ』、もっと言えば『ガンダム』と『G3ガンダム』、それ以上の違いはあるはずです)

「Basic」か 「Expert」か

純粋にコーヒーを美味しく飲みたい、色々な味わいや焙煎を気軽に楽しみたい、焙煎に失敗したコーヒーなんて絶対に飲みたくない、という方には「Basic」がおすすめです。10万円というプロ驚愕のバーゲンプライスに加えて、毎月届く多種多様な味わいの豆とともに現状でも120種類以上の焙煎プロファイルがすでに用意されています。少しずつ参加ロースターや豆のラインナップも増えつつあり、今後のサービスの拡充も期待できます。何よりも、IoT家電だからこそ作り出すことが出来る「The Roast」の世界観、その広がりや可能性を十分に堪能できるのはこちらのモデルです。

「Expert」は‘モノ’として小型高性能の焙煎機を手に入れたい方、一般の方よりも、「うまい」「まずい」「上手」「下手」全て自分の責任において味づくりが行えるマニアやプロの方におすすめです。(The Roastは通常の焙煎機のように環境に大きく影響される事がなく、再現性が非常に高いのが特徴です。その代わりぶれない分「まぐれ当たり」も全くなく、豆に合わないズレたプロファイルを作ってしまうと100発100中できっちりズレた焙煎豆を焼き上げてしまう、というある種の厳しさというか、難しさがあります。それでも操作性の良さに加えて「1℃」「1秒」「1%」単位の設計にきちんと味が追従してくれる精度の高さは魅力で、うまく使いこなせばかなり緻密に味作りを行う事も可能です)

プロの方が業務用として使うのがやはり一番のおすすめです。素材選定のためのローストはもちろん、製品作りに際して「あたり」を付けるためのサンプルローストにも向いています。1バッチ50gとロスの少ない焙煎量や、作業性の高さ(一度プロファイルを作ってしまえばロースターに張り付く事無く、他の業務をこなしながら手放しでどんどんサンプルが焼けてしまう)も相まって、使い方次第で本体代金の投資分なんてあっという間に回収出来てしまうでしょう。

他の仕事の邪魔をしないので、思い立った時に10サンプルでも20サンプルでもすぐに準備できます

予約特典

2018年10月31日から2018年11月30日の間に予約・購入された方は予約特典として無料の「The Roast焙煎セミナー」を受講する事が出来ます。セミナーでは名古屋GOLPIE COFFEEの河合佑哉氏(2015年の焙煎チャンピオン)と共に私、後藤も講師を務めさせていただきます。The Roastでの焙煎プロファイルの作り方のコツや具体的な使用例などをお伝え出来たらと思います。

製品の予約やセミナー詳細に関してはこちらをご確認ください。

「The Roast Expert サービス(ザ・ロースト エキスパート サービス)予約販売」

これは良い物です

「The Roast」のキモ、一番の魅力はIoTを利用したその‘サービス’にあると思っていますが、その副産物として、家庭用としても業務用としても、100v用としては現状「国内最高」と言って良いくらい、本気で使える稀有な小型高性能ロースターが出来ました。本当に素晴らしいマシンなので、ぜひこの新しい「Expertモデル」も多くの方に使っていただいて、世のコーヒー周りが今までよりもさらに良くなると嬉しく思います。

・The Roast Expert サービス

業務用としても珍しい、買って使って間違いのない製品です。サンプルローストで迷われている方はぜひ!

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コメント

  1. Mineharu Takahara より:

    IkawaのPro Sample Roasterは排気温度(釜の内部ですが豆を通り抜けたあとなので排気と考えています)、Home Roasterは給気温度、Pro V3は両方計測できてそのどちらか選択してプロファイルを作成しますが、パナソニックRoastはどの方式ですか?

    私はHome RoasterをKickstarterで入手し、ローストの基本をネットや本で調べて大量の試行錯誤の後やっとコツがつかめてきました。その過程でわかったのは、豆の密度や水分の影響が排気には反映されるので豆の内部温度変化を推測しやすいけれど、給気温度だとばらつきが大きくなりやすいということです。水分量測定器の購入も考えましたが、データー収集も大変だし、金額を見たらPro Roasterを買う方がいいという結論に達しました。ローストした豆を販売するわけでわないので、味が気に入らなかったらプロファイルを調整し直せば良いだけのことなんですけどね。笑

    プロファイル作成は最初は大変でしたが、豆の内部の状態を考えながら試していくのはとても楽しいし、上手くいくと達成感もあります。過程が楽しめて、お金では買えない独自ローストのコーヒーを作れるのですから25万円でも買います。海外在住なのでパナソニック版は買えませんが、今使っているのが壊れて修理不能になったらPro版買います。

    1. fukumame より:

      Mineharu Takaharaさま

      こんばんは。詳しい情報ありがとうございます。IKAWAは良いマシンですね。一台でひとりひとりの方が試行錯誤するという、当たり前といえば当たり前の使い方をするには完成された素晴らしいマシンだと思います(電圧問題は置いといて)。ただ、密度や水分量、豆の形状やばらつき具合(実はこれが影響大です)がかなり違う多種多様な豆を供給し、「夏の沖縄から冬の北海道まで、日本国内どこでも同じプロファイルで同じ味を作らないといけない」という「TheRoast」の特殊なサービスに必要な条件までは満たしてはいなかったため、色々と改良を加えています。

      TheRoastは供給側の温度を測って制御に使っています。プロファイル作成時には熱電対を本体数か所につけてモニタリングを行いながら行うのですが、排気温度でのコントロールよりも供給側の温度制御の方が、これもTheRoastのサービスには向いていると判断しました。(Mineharu Takahara様の仰る「豆の密度や水分の影響が排気には反映される」というのはまさにそうで、同じプロファイルでも生豆が変わると結果が変わる、それだけでなく焙煎過程での実際に計測している豆温度とプロファイルとの乖離の度合いまでもが変わってしまう。さらに排気温度を制御に使うと刻々と変わる焙煎豆の状態に最後までプロファイルの方が影響されてしまうというのが、修正修正でなんとかなるにしても、作っていて個人的にはストレスに感じました)

      ひとくちに供給温度といってもセンサーの微妙な位置の違いでだいぶ計測結果や制御の性格が変わります。詳しくは言えないのですが、TheRoastは「ここしかない!」という本当に絶妙な位置にセンサーを付けてもらっているので、焙煎環境(温度、湿度、電圧)に左右されることなく安定した熱量を豆に供給してくれますし、なにより制御温度と豆温度(豆近傍温度)との相関が非常に高いため味づくりがとてもしやすくなっています。

      ともあれ、IKAWAにしてもTheRoastにしても、コーヒーの焙煎(というか味作り)がこれほど気軽に、クリーンに楽しめるなんて、良い時代だなと思います。
      手網やおもちゃの様な家庭用の焙煎機で試行錯誤していた昔に比べると本当に隔世の感があります。
      ぜひ今後ともホームローストを楽しまれて下さい。

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