JHDC 九州予選を終えて2 気になった事

初めての開催で運営側も参加側も、何もかもが手探り状態で、色々難題もあったかとは思いますが、
良い緊張感に包まれた素晴らしい予選だったと思います。
ただ個人的に少し残念に思った事もありました。

1つは抽出量についてです。

審査中はカップに注がれた抽出液に淡々と点数を付けていくだけなので分かりませんでしたが、
後で聞くと規定の抽出量(250ml~300ml)から外れてしまっていた方もいたそうです。
皆さんかなり練習されてきたと思うので、やはり本番は相当勝手が違うという事なのでしょう。
独特の緊張もあるでしょうし、そもそも普段と違う環境で入れるというのは慣れてる人ほど難しかったりもします。

今回は豆の影響もあったと思います。
また、抽出台の「高さ」も関係したかもしれません。
普段入れてる環境とほんの少しでも高さが変わると注湯作業そのものの感覚的な部分に狂いが生じます。
そして、これは単純な事なのですが、サーバーを見て「目分量」で抽出量を計っている方は
見る高さによる量の見え方の違いにも注意が必要です。
各会場の抽出台の高さは公表されていますので練習の際はそちらも参考にされると良いと思います。

 <各会場の抽出台の高さ>
 北海道: 高さ70センチ+10センチ (10センチのドリップ台を予めセットしてあります)
 東京 :  高さ80センチ
 大阪 : 高さ80センチ
 福岡 : 高さ70センチ+10センチ (10センチのドリップ台を予めセットしてあります)

こういった事を踏まえると、リハーサルでは「味」だけではなく普段入れる時との落ち方や
実際の抽出量の違い等にまで気を配るという事も大切になってくるのではないでしょうか。
その上で、落ち着いて入れる(これが一番難しそうですが・・・)事ができればミスはかなり減らせると思います。
抽出量の失敗は配点上、±1mlの誤差でも一発アウトの厳しい規定ですので選手の方は十分ご注意下さい。

もう一つ残念だったのはレギュレーションの理解度について、です。
今回は練習中や準備中テクニカルチェッカーに注意される方が多くいたそうです。
これも終わってから聞いた話です。

採点表で減点項目となるのは基本的に「抽出量(ドリッパー戻し含む)」と「タイムオーバー」の2点のみです。
それ以外のレギュレーションの違反は0点、「即失格」という形になります。

九州予選ではなるべく失格者を出さないよう、チェッカーの方が気付いた時点で選手に注意をしていたようです。
これは運営側の温情なのだと思います。各会場毎にチャンピオンを出す、という方式だからこそできる事でしょう。
他の会場でどうなるかはわかりませんし、もしチェックに漏れてそのまま競技に移れば
本当に失格となるケースも当然出てくると思います。
実際にそういった事が起こった時、一体誰を、何を恨むのでしょう。
こういった競技会に出場するにあたってレギュレーションを熟知しておくというのは当然の事で、
「知らない」「分からない」は競技以前の問題だと個人的には思います。

出場される選手の方は規約をしっかり読んで、やって良い事と悪い事、
持ち込んで良い物ダメな物等を今一度しっかり確認整理して
万全の状態で本番に臨む事をおすすめします。

※細かなレギュレーションに関しては試技説明会等で説明があったかと思いますが、
それでも分からない事があれば運営に問い合わせてみたり、
当日のオリエンテーション等で聞いてみるのも良いかと思います。

基本的にはあまり変わった事はしない方が良いと思います。
規約に書いていない事を独自の解釈で行うと少し危険かもしれません。

自分らしさ、私の味、俺の味、を出すために色々と試してみたい気持ちもわかりますが、
予選、そして決勝のラウンド1は「個性」や「創意工夫」を競う場ではなく、
あくまでも「決められた枠の中で決められた味わいを出す」という、
純粋に「基礎的な味作りの技量」のみが問われるラウンドです。

「自分らしさ」を含めた「おいしさ」を競う場はちゃんと決勝(のラウンド2)に用意されております。
ただふつうに落すだけでもドリップ抽出は難しく、奥が深いものです。
予選ではルールの隙を付いた変化球で他を出し抜くことを考えるよりも、
直球勝負を詰めていった方が勝利は近いと思います。

失礼を承知でお節介を言うのは、純粋に味や技術を競う大会で
それらと直接関係のない部分で負けてしまうのはとても勿体無い、
審査する側からしても、飲んで素晴らしい液体を作った方が
「ルール上」敗退していくのは本当に遣る瀬無く、一番力が抜ける事だからです。

予選はまだまだ続きます。
出場される選手の方が、一人も失格や減点になること無く、持ち前の技術を遺憾無く発揮できる事、
そしてそれが適正に審査されて素晴らしい結果に結びつく事を切に願っております。

どうぞ皆様、準備をしっかりして精一杯頑張ってください。

準備といえば、九州大会でのグラインダーの持ち込み数は貸し出しとちょうど半々くらいでした。
この数字を多いと見るか、少ないと見るかは、人それぞれだと思います。

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