金沢大学コーヒー学入門 1

先週の日曜日にNHK福岡放送局のホールにて行われた
全国大学連合特別公開講「金沢大学コーヒー学入門」という講座にお手伝いで参加させていただきました。

会場隣の護国神社では蚤の市が開かれて大盛況でした。


K吉さんを発見。


公演に先立って会場近くの珈琲美美さんでは
エチオピアの伝統的な「コーヒーセレモニー」が行われ。


正式な作法で供されるエチオピアのコーヒーと
ブラジルで一般的に飲まれている「カフェジーニョ」が振舞われました。


会場のNHK福岡放送局内のホールです。
写真ではわかりにくいですが広い会場です。
100名の募集があっという間に締め切られるほどの盛況っぷり。

講義はエチオピアのコーヒー輸出会社「モプラコ」のエレアナ・ジョーガリス社長と
ブラジルのカルモシモサカコーヒー農園主の姪で、カップテイスターをされている「マルシア・ヨーコ・シモサカさん、
そして金沢大学講師の圓尾修三を講師にお招きして行われました。
普段はなかなか聞くことのできないエチオピアやブラジルのコーヒーの歴史、
そして「今」を知ることができました。

公演終了後と懇親会までの間にマルシアさん、エレアナさんとお話する事ができました。
マルシアさんとはブラジルのスペシャルティコーヒーとメインストリームコーヒーの現状と、資格制度について少し。
印象的だったのはブラジルにはいろんなコーヒーがあるのでそれを楽しまないのはもったいないと仰っていた事です。
コーヒーに精通している人ほどコーヒーの多様性を信じ、認めていることにいつも感動します。
スペシャルティコーヒーでさえコーヒーの多様性の中のごく一部である、と。

エレアナさんからは一番聞きたかった流通システム変更による弊害と残留農薬問題についてお話を伺いました。
やはり現状には大変心を痛めているそうです。
特に農家もわれわれ日本の買い手も、輸出業者でさえ得をしない今の仕組みについて。
中間業者だけ儲かる仕組みではあるけど、こんなシステムだと年々品質が落ちていくのは当然で
いずれは本当に誰も得しない最悪の状態になるのは誰の目にも明らか。
それなのになぜ改善されないか当たり前の疑問をぶつけると、
「彼らは今日の事しか考えていない」と寂しそうに仰っていました。

残留農薬問題についてはエチオピア側にも日本のコーヒーの業界側にも少しずつ、
責任が全く無いとも言えない面もありますが、
前提のルールそのものが無茶苦茶なわけですからどちらが悪いといった話でもない気がします。
本当にどうしてここまで変なルールができてしまえるのか。
おそらくコーヒーだけの世界ではないと思いますが、日本のシステムも相当おかしい事だらけなのでしょう。
おそらくルールを作っている人たちも「今日のこと」しか考えていないんでしょうね。
悲しい限りです。

双方単純そうで問題はなかなか複雑です。
日本にはエチオピアのコーヒーを愛する方が多くいますので
改善の兆しは少し見えていますができるだけ早く事態が良い方向に向かうことを祈るのみです。

SCAJの大会でも生産国の方のお話をたくさん聞きましたが、
あちらは基本的に見本市に「売り込み」に来ている方々のお話ですから、聞くこちらも「話半分」といった構え。
認証関係の話にしても耳に心地よい話が多くてネガティブな面にはなかなか触れる事ができませんでした。
今回少しプライベートに近い形で生産国の方のお話が聞けて
知りたかった本当の事の一端でも知ることができた事がとても嬉しいです。
現地でなく、東京でもなく、九州福岡にいながらこれほど貴重なお話をきける機会を得ることができるのも
多くの方の尽力、特に先輩コーヒーマン方々の情熱と努力があるからこそ。
情報を取りに行く大変さは少しはわかっているつもりです。
九州のコーヒーファンや後進の若手コーヒーマンに引き続きこういった場を提供し続ける事ができるように
今後とも微力ながらできる限りのお手伝いはさせていただきたいと思っております。

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