中米産地視察 グアテマラ7 (ウェットミル)

ウェットミル(精製所)にも行ってきました。

先日紹介したドライミルに対してウェットミルは
水を使って豆の選別や運搬、発酵処理等を行いながら、
主に収穫した果実からパーチメントコーヒーに仕上げるまでの工程を行う精製所です。


夜中でも、続々と収穫されたコーヒーチェリーが運ばれてきます。


すでに一部発酵が始まっているのか、アルコール臭を含んだ甘ったるい香りが漂っています。
(熟れ過ぎたブドウや少し傷んだ果物の「むわっ」としたあの香り)


皮むき機で皮と果実を除去されたチェリーは


比重選別を受けながら水路で発酵槽に送られて
(大事な所なのになぜか発酵層の画像がない・・・)
酵素の力で落ちやすくなった種の周りのヌメヌメした粘液質を洗い流した後、
適度な水分量になるまで乾燥して袋詰めされます。


こちらは天日乾燥。
「パティオ」と呼ばれるコンクリートの乾燥場の上に広く並べ、
適宜かき混ぜながら乾燥させていきます。
他にドラムを使った機械乾燥もあります。


棚干しで寝かされるパーチメントコーヒー。


こちらのミルにはドライミルの設備も併設されていました。
チェリーから生豆まで仕上げる事も可能です。
(グアテマラではヘルメットの使い方が日本と少し違う様です)


最後は必ずカッピング。

ウェットミルは今回の旅の中で何箇所か回りましたが、
施設による設備の充実度や衛生管理の度合いに違いを感じました。
豆の品質もそれに伴って良かったり、悪かったり。

傾向として、比較的質の良いチェリーが取れる地域の精製所は
清潔で設備も整った所が多いように感じました。
そこで作られた高品質の豆は高値で取引されます。
得られた利益で設備投資を行いさらなる品質の向上を図る、
という好循環が出来ているのかもしれません。

一方、そこそこの品質のチェリーしか取れない地域のミルはその逆で、
旧式の設備を使い、少し非効率的なやり方でやっているように見える所もありました。
衛生環境もけして良いとは言えず、そういう所の豆は品質もやはりそこそこで、
残念ながら買いたくなるような良い物に当たる事もあまりありませんでした。

そういった状況を中々変えることが出来ない理由は、
色々な部分から何となくですが伝わってきます。

 「我々農家や農協は(経済的に)続けていけるかいけないかのギリギリの所でやっている」
といった話を伺いながらカッピングをしていると、なんだかコーヒーもしょっぱくなり、
それと共に色々な感情が浮かんできます。

日本で行うチェックからは豆の違い、単純な品質の「差」しか感じ取る事ができていませんでしたが、
今回産地に行き、少しは背景が分かった上で行うカッピングからぼんやり感じたのは
単なる差や違いを超えた、もっと大きな「格差」のようなものでした。

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コメント

  1. 原あつみ より:

    コーヒーの質
    後藤さま
    再びこんにちは。
    後藤さんが視察されて写真を載せている農園はとても大規模なところですね。こちらコナ地域でも、ウェットミルの設備をもつ農園は数ありますが、ドライミルは数えるほどしかありません。かなり大きな(うちから較べたら)農園(農家?)でもドライミルはアウトソースしているところが多いです。うちは両方アウトソースしています。
    ハワイはアメリカなので、まず人件費が高い。加えて、遥かな離島なので、設備投資、メインテナンスにお金が掛かる。運賃が掛かるのです。だからうちのような小さな農家はチェリーを大きな農園に卸しているところが圧倒的に多いですね。皆自転車操業ではないだろうか。
    同じコナ地域でも、車で5分と走らせなくても、コーヒーの味が変わります。特別おいしいコーヒーが獲れる土地があって、そこのコーヒーは根本から味が違います。たぶんゼロから土地を耕して、肥料をやって、とがんばってもあの味はだせないだろうなあ。うちも割とラッキーな場所なのですが。。。

  2. フクマメ店長 より:

    原さま
    こんにちは。説明が下手で申し訳ありません。今回回った中でも大半の農家は共同のミルを使っていました。中に数箇所のエリート農家(?)がプライベートのミルを持っていて、自分の所だけでなく、周りの農家の精製も請け負っていました。土地によって品質が異なるのはある程度仕方がないとしても、同じように頑張って作っていても報われ方が違うのは、いたたまれない気持ちになります。今のエチオピアのシステムで解決できる部分はありそうだけど、それはそれで問題も多いみたいで。。難しいですね。

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