ハンドドリップ

先月行われたハンドドリップ競技会の九州予選では味覚ジャジを務めさせていただきました。
審査は完全ブラインドで行われたので、誰がどの様に入れたのかは全く分からなかったのですが、
優勝カップは、実は満場一 致、参加した8人のジャッジ全員が後日結果を聞いて
「あ、やっぱりあのカップだったんだ」と思い出せるほど素晴らしい抽出のコーヒーでした。

先日そのチャンピオンの抽出を見せていただく機会がありました。
その手技を見てやっぱり素晴らしい抽出だったんだと思いました。

ドリップにも細かくわけると色々な手法がありますが、その中の一つ王道的な抽出。
印象的だったのは粉に対するお湯のアタリの良さです。
お湯をかけられているコーヒーの粉がとても気持ちよさそう。
それをみて、ハンドドリップの抽出の良し悪し悪しを決めるのは
やっぱり注湯の技術なんだなと今更ながら思いました。

競技会が始まってから何人かの方に
「味だけの一発勝負だったら、素人がやって『たまたま』上手く入ったコーヒーが
優勝してしまう事もあるんじゃないの?」
と聞かれました。
コーヒーの抽出や、ハンドドリップの抽出を少しでも分かっていれば
そんな考えには至らないと思うのですが、どうでしょう。

一般の方には「やっぱりハンドドリップって難しいんだな」とはあまり思ってほしくありません。
普通に飲んでおいしい、ストライクゾーンに入った80点以上のコーヒーは、
いくつかのポイントさえ抑えれば誰でも簡単 に入れる事ができます。
その辺はコーヒー教 室でいつもお伝えしている通りです。

ただ、プロが行う日々の味作りや、こういったバランスを取りながら過不足なく狙った成分を出していく抽出、
91点を92点93点に詰めていくようなコンペティティブな、ピンポイントの味作りはやはり「難しい」です。

ハンドドリップの抽出においては、粉とお湯をどう接触させていくか、
お湯の流れをどう作ってコントロールしていくか、
抽出の一番基礎的なところにこの注湯の技術、手技があると 思っています。
この辺りはバリスタの方なら
「抽出中の圧力が安定せず、詰まりま くってお湯の出方がバラバラなシャワープレートがついたマシン」
で本当に狙った抽出が行えるのかを想像してみると分かりやすいかもしれません。

この基礎的な注湯の技術がきちんとあれば 湯温やメッシュが合って奇跡的に素晴らしい抽出に
「なっちゃう」可能性はゼロではありませんが、逆は、まずないと思います。

本日行われる競技会決勝。
華やかなプレゼンもあるかもしれませんが、他の競技会と同じかそれ以上の割合で、
実はほとんど「味」で 勝負が決まります。
これはスコアシートみてもらえばよくわかると思います。

味は観客からは見えませんので、ある意味分かりにくい所で勝負が決まる、と言えるかもしれません。
だから逆に、華やかな演出も良いけど、面白いアレ ンジも良いけど、それは少し置いといても、
観客の方にはぜひ「ドリップの抽出の手技」を見ていただきたいと思っています。

九州大会では会場でチャンピオンになった方の抽出の様子を間近で見て、
その技術や真剣さ、手技の美しさに感動して涙したボランティアの方もいたそうです。
その話、本当によくわかります。

ハンドドリップの抽出はとても地味かもしれませんが、そこに全てが詰まっています。
ハンドドリップにおいては、落とした液体そのものがすでに抽出者のオリジナル、シグニチャードリンクだと思います。
本日午後に行われる決勝大会には100人以上の参加者から勝ち残った腕自慢の6名がその技術を競います。
少し視点を変えてみるとまた面白さも広がるかもしれません。
最上級の抽出技術を共に楽しみましょう。

※出先の特殊な環境でFBに上げようと思ってこちらに書いてみました。
バグった上に、修正も出来なかったため、とても読みにくかったと思います。
申し訳ありませんでした。

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