キワキワの焙煎

暖かい日が続いたせいか、お店でもアイスコーヒーの注文が増えてきました。
取引先のご依頼で今年初めてアイスコーヒー用のブレンドを焼いています。

2ハゼ終了‘から’の焙煎。当店では最も深い、一般的にはフレンチローストとかイタリアンローストと呼ばれる焙煎度合いです。ここまで煎り込めば当然苦味はかなり出てくるのですが、当店の深煎り珈琲は‘濃く’‘丸く’’柔らかい’苦味の形成を目標として味作りを行ってますので、飲んでも意外と「強さ」は感じないかもしれません。イメージとしては焼いて苦味を出すのではなく、苦味を煮詰めて濃くしていく感じです(といってもまあ焼くのですが;)。ただ、これが言うは安しで、ここまで深煎りになるとほんの少しの火力、排気の設定ミスでとたんに焦げたきつい苦味や煙がかぶったような嫌な味わいが出てしまいます。極深煎りの難しい所です。難しいと言えば、本日行われる焙煎のワークショップは1ハゼピークの極浅煎りで出しました。深煎りとは全く違ったアプローチでの味作りではありますが、ストライクゾーンの狭さ、ほんの少しのミスで全く別物のコーヒーになるという難しさはどちらも共通しています。普段はあまりこういった綱渡り的なキワキワ焙煎は行いません。お客様の珈琲を焼く業務の焙煎は、まず失敗が許されず一番の目標が「安定」となるため、できるだけマージンを大きく取った味作りを心がけています。ただたまにはこういった難しい焙煎をやる意味はあると思っています。味作りの引き出しも増えて色々勉強にもなりますし、日々の味作りの中で味を安定させる事、より細かなニュアンスを出していく事等が簡単に感じられるようになります。最大筋力、自分の能力の何割を使って日々仕事を行っているかは結構重要な事です。手抜きというわけではなく、無理なく日々のパフォーマンスを上げるためには筋トレ的な、一見全く無駄と思えるバッチが、そして客観的な検証が必要だと感じております。・・・とかなんとか。いい加減頭がふやけて呂律も回ってない気がします。焙煎人も意外と色々考えながら豆を焼いてます。ただ火を通す、豆に色を付けているわけではないようですよーと、釜が冷えたようなので今日はここまで。

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