エアロプレス検証 〈フィルター〉

先日行われたエアロプレスの大会に選手として出場しました。エアロプレスという抽出器具ををご存じない方も多いと思います。私自身大会直前に入手して未だにわからない事だらけの初心者です。正しい器具の使い方や美味しい入れ方等については販売店や詳しい方々がホームページ等で紹介してると思いますのでそちらを参考にされて下さい。ここでは器具の抽出検証や大会に向けての味作りの中で感じた事を書き残しておきたいと思います。

事前に発表されていた今大会の審査基準は二つ、「甘さ」と「質感」でした。器具入手から時間も無かったのでまずはその主題に絞って色々と検証してみました。基本的にこれは個人的な研究、遊びのようなものです。遊びに大切な商品は使えません。たまたま先日行われた焙煎のワークショップで提出しなかった焼豆(商品にもできない)があったのでそれを使いました。効率良く抽出の検証を行うためには同じ豆を使うことはもちろん、検証し易い豆を使うというのもポイントかもしれません。その意味では良い豆でした。

「甘さ」は少し大変なので後回しにして、先に「質感」から探っていきます。

この器具には付属のペーパーフィルターの他に別売りの金属フィルターもあります。まずはこのフィルターによる味わい、質感の違いを調べました。安定した液体を作るため、液が漏れない逆さま抽出(レシピ:お湯200cc-メッシュditting♯8-浸漬3分撹拌無し-加圧20秒)で検証を行いました。

テイスティングの印象です。

■ペーパー 
紙の剛性と器具自体の作りの甘さで想像以上に微粉やオイルが混ざる。偶然なのか、加圧の加減によってはオイルの混ざり具合が絶妙に良い感じ。ペーパーというよりはネルで漉したような柔らかく魅力的な質感。

■金属フィルター
わりと想像通りの味わい。この入れ方においてはフレンチプレスの様な印象。オイリーな質感は良いもののいかにも金属フィルターを通したという味わいが気にはなる。少し搾り出した感じで酸や質感が気持ちシャープ。オイル分が多いのに固い印象。
(たまに感じるこの金属と反応したような味わい。焙煎豆由来のメタリック同様、液体から確かに感じられるものもありますが、今回の大会のある体験からそこにはある種の「気のせい」も含まれているような気がしてきました。もしかすると金属フィルター派の人達が感じる「紙臭さ」も似たようなものかも。ひとつ思う所がありますが、それはまた別の機会に)

■ペーパー+金属フィルター
ペーパーが意外なほどバカなので剛性を上げるために間に金属フィルターをかます。微粉やオイルの量がグッと減り、液質だけで言うとペーパーで漉したようなクリアな感じに。見た瞬間「お!」となるも。。。抵抗が増えた分圧力が強くかかるのか、そのままでは無理やり絞り出したような嫌な味わい強く出た。酸の固さが増し、部分的に過抽出も起こっている様子。液体の透明感が上がっても味わいの透明感(クリーンカップ)が下がっては意味がない。フラットでティーライク。アフターの香りの広がりなど良い面はあるものの今回のテーマからは一番遠い所にある感じ。

以上です。フィルターの素材によって質感に違いが出るのは想像できましたが、単純にそれだけでもない様です。他の容器で浸漬した粉と液体をこの器具に移し替えてプッシュした結果も同じように質感だけでなく味わいそのものが大きく変わりました。これくらいの抵抗でも、加圧する際の圧力は抽出に影響を与えるようです。また圧が上がる程メッシュ(粒度)の影響も強く出ます。もう少し大らかな抽出器と思っていたのですが、中々繊細な面も持っている模様。面白いですね。

その後も色々と検証した結果、抽出条件にの変化に対する反応はペーパーが一番フラットというか、直感的で扱いやすい感じでした。マウスフィール(口当たり)の印象も良好。ネルっぽい質感がうまく出せたら面白いかなと思って最終的に使用するフィルターは標準のペーパーに決めました。

おしまい。

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