秋の由布院 後編

昼食後「カフェボンボヤージュ」さんにお邪魔しました。

ヨーロピアンブレンドと大きめのフィナンシェ。

色々とお話を伺って、貴重なコレクションを拝見させていただいたあと
ちょっとマニアックな実験、というか検証を見せていただきました。

右が一般的な国産のミル。
左はボンボヤージュさんで使っている井上製作所のリードミル。
同量の粉とお湯、お湯の温度も同じ、そして全く同じ抽出法で入れ比べてもらいました。


国産ミルの抽出。わりと良く見る感じです。


こちらリードミルの抽出。むう、これは。。。
ガスが、微粉が、見ただけでもう色々とわかりますが


飲んでびっくり、震度8の衝撃

これはすごい。
既存の抽出の概念を変える力を持ったミル、と言っても言い過ぎでは無い気がします。
微粉が出ないというのは話に聞いていたのですが、
このミルの優れたところはそこだけでなく
その驚くべき抽出効率の高さではないでしょうか。
マスターも仰っていましたがその秘密はやはりクラックにあるのでしょうか。

その威力がどのくらい凄いかというと、
ボンボヤージュさんの抽出はネルで50グラム-750cc、
その抽出タイムがなんと1分25秒(一投目から抽出完了まで)なんです。
過抽出が無い(微粉による過抽出もゼロ)のは当然ですが
それでいて未抽出でもないのですから、
そして見てるとほとんど浸漬式に見えます。
これはわかる人にはわかる、まさに驚きの抽出ではないでしょうか。

このネルドリップの概念を覆す「ネルエスプレッソ」な抽出も
このリードミルがあってこそだと思います。
頭では、理論的にそうなるだろうという事は分かるのですが
実際にその抽出を味わうとやはり、舌が驚くのです。
体験できただけでもラッキーでした。

このリードミルは100数十万円と恐ろしく高価なのですが、
ある人にとっては十分以上の価値はあるでしょう。
ただある人にとっては宝の持ち腐れ、というかむしろいらないものかもしれません。
個人的な興味としては海外製のミル、うちで使っているディッティングや
マッツァー等との比較もしてみたいし、保有もしてみたいですが、
お店の方向性として、このミルは使わない、
というか魔法かかりすぎて(笑)使えないと思います。

マスターが素晴らしいのは生豆の選択~焙煎、そして
織りまで指定した自家製のネル、リードミルでの粉砕、
その一つ一つが特殊なこの抽出法、理想とする一杯の液体を作るために
きっちりと「選択」されているという事だと思います。

これは本当に色んな事がわかっていないと出来ない事だと思うし
もしかすると数え切れないトライ&エラーの繰り返しで
ようやくたどり着いたものなのかもしれません。
どちらにしても素人がつまみ食いのように
マスターのやり方を真似したとしてもほとんど意味は無いでしょう。
目的のための手段、そのための選択です。
それができてこそ本当の「こだわり」と言えると思います。
そうじゃなければただの聞きかじり、ミーハーですしね。

久々にコーヒー飲んで震えました。
ここにも「名人」がいました。
最近流行の点数主義では語れない凄みがあります。
やはり聞いただけでは、話さないと、飲まないと何もわかりませんね。

来年の2月に福岡で珈琲文化学会主催の焙煎セミナー(2回目)があります。
講師はこちらボンボヤージュのマスター豊永さんです。
「プロ」の焙煎機を使って名人の焙煎を見て、体験できるまたとない機会。
詳細が決まれば改めてご案内いたします。

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