こんにちはフクマメ店長です。タイトルにある様に、この度コーヒーゼリーの監修をさせていただきました。全国のスーパーやコンビニで現在販売中です。(期間限定の商品となります。この手の商品はとにかく棚の回転が速いそうですのですので、見かけた際は一期一会と思って手に取っていただけると幸いです)
近くのスーパーを何件か回って、イオン系のスーパー(イオン筑紫野店)で発見。
製品版は今回初めて食べたのですが、開発段階の味わいが再現されていてホッとしました。
今回私が監修したのは三層に分かれた一番下、コーヒーゼリーの部分です。福岡での打ち合わせだけでなく、実際に東京の工場や関西の焙煎工場まで行って細かな調整を行いました。
具体的には以下の4点です。
①原料豆の選定および配合調整
②焙煎度合いの選定
③濃度・糖度の選定
④焙煎プロファイルの選定および配合調整
①~③は味づくりとして基本的な部分と思います。今回特にこだわったのは④の焙煎プロファイルとプロファイル違いの豆の配合比率です。中々マニアックで複雑な工程で、焙煎工場様の協力なしには実現は不可能でした(実際初めての取り組みだったそうです)が、おかげさまで狙い通りの味にすることが出来ました。
最高の素材をふんだんに使える自社製品とも違い、スーパーに並ぶ商品には価格以外にも様々な制約があります。その中でよりおいしい(特にコーヒー好きな方にとって)と思ってもらうために、技術的な部部でのチューニングに拘りました。(「究極のコーヒーゼリー」とかなり大上段のタイトルが出ていますが、ここでいう究極は、究極に「ととのった」にかかっていると思ってもらえると助かります)
お菓子とはいっても、コーヒー屋として関わったからには大事にしたいのは「コーヒー感」でした。そのための要となるのは香りと味わいの「強度」です。ただ、そこには使える素材、だけでなく、加工や流通の過程において様々な課題があります。
色々と試行錯誤する中で気づいたのは、コーヒー感において、味や香りの最大値はひとつの要素ではあるものの「感じ方」に関しては思っていたよりもトップ→ミドル→アフターの強度のバランスを整える事の方が重要であるという事です(このあたりは「音」の響き方、感じ方に通ずるものがあるなと思いました)。
味や香りの調整に関して「香りはフレーバー(コーヒー香料)」「味はインスタント」を使う事で比較的イージーに、かつ上手くバランスさせる事は可能です。実際に多くの菓子メーカーがそれらの方法で味作りを行っています。
お菓子作りとしてはそれが正解なのかもしれません。ただ、普段レギュラーコーヒーを飲んでいる我々からすると、その「作られた」コーヒー感に対してどうしても違和感を感じてしまいます。
今回、コーヒーゼリー部分には何も足さず、何も引かず、与えられた環境の中、出来る限りの細かな調整をすることで、コーヒー好きが自然と「普通に美味い」と思えるデザートを作ることが出来たと思います。
棚に並んでいた同価格帯の競合製品を食べ比べてみました。珈琲菓子の世界は正直良く分からないので、味の好みや出来の良し悪しは判断つきませんが、方向性が全く違っていて、コーヒー屋として関わったかいはあったのかななと思いました。(このあたり、コーヒー好きな方、お菓子好きな方、両方の意見がもらえると嬉しいです)
制限が無ければより良いものも作れるかもしれません。ただ、様々な制約がある中でここまで「ととのった」ものを作るプロジェクトに関われた事に満足しています。制限があるからこそ技術者は燃え、知恵や技術が活きます(F1のエンジニアリングも素晴らしいけど、軽自動車のそれもまた素晴らしい)
話が取っ散らかりましたが、色々な方に今回のコーヒーゼリーを試してもらってご意見いただけると嬉しいです。
また、原料コストを抑えつつ、技術的な部分での「調整」において製品の品質を上げたいという企業の方がいましたら、お仕事お待ちしております(笑)。