SCAJ2009 報告 「ゲイシャミーツコーヒーマイスター」 前編

先日東京で開催されたコーヒーの展示会。
様々な催しとセミナーに参加してきました。
ためになる事も多かったので時間があるときに少しずつご紹介したいと思います。

「ゲイシャミーツコーヒーマイスター」

コーヒーマイスターの有資格者セミナーです。
セミナーの名前を聞いて「芸者と密会?」なんてあほーな事を
言ってる人もいましたが、「ゲイシャ」というのはコーヒーの品種の名前です。
エチオピア起源のコーヒー原種の一つで品質は良いのですが生産性が低いため
あまり栽培はされていませんでした。
ところが近年パナマの特定地域で栽培されるゲイシャ種の中に
高い品質だけでなく驚くような特殊なフレーバーを持つコーヒーがある事が発見され注目を浴びています。
欧米を中心としたスペシャルティコーヒーの業界では
「ゲイシャフィーバー」とも言われるほど異常な盛り上がりを見せ
オークションではとんでもない高値で取引されています。

「ゲイシャ種の謎にせまる」と題してパナマの農学者マリア・ルイス氏による
講演が行われました。
なぜパナマのゲイシャの中、それもごく一部にだけ特異なものが出現するのか、
品種もそうですが、ヒントはパナマの複雑な気候、それもより狭い地域で
起こる気候の変化(微気候)が大きく関わっているのではないかと言うことです。

ゲイシャフィーバー以来パナマだけでなく色々な地域でゲイシャ種が
植えられ研究され始めましたが、代表的なエスメラルダ農園のものを上回る
特徴を持ったコーヒーはまだ出てきておりません。

あの香味はやはり自然が生み出した奇跡だと思います。
エスメラルダ農園でさえ収穫する区画によって特徴に大きく差がでるくらいですから。
今後このように特殊なコーヒーが出てくる可能性はかなり低いでしょう。
ただゼロではないと思います。期待しましょう。

後編につづく。。。

根治

最近は治まっているのですが、うちの子(焙煎機)のぐずり癖を
根本から治すべく、またまた岡山から設計者の方にきていただきました。

ばらして隅々までクリーニング。
諸般の事情により写真の公開は出来ませんが
初めてマイスターの心臓部を見る事ができました。おお。
勉強になります。

ベアリングも新品に交換。

自動調心機構付き。
ミニ四駆世代はボールベアリングってだけで心躍ります。

少し早めですが定期的に行っているダクトの掃除もしました。

ほぼ納品時のピカピカ状態。
これを維持して行きたいです。

テスト焙煎後美美さんへ行きました。
ばりばりの焙煎人とばりばりの機械屋さんの対談を拝聴して
「職人」というのはどこか根っこの部分で繋がっているのだなと思いました。

どちらが良いとか悪いとか単純な世界ではなく
全部が必要なんだと改めて感じました。
それができた上で主体的にどこでバランスを取っていくのか。
技術者として本当に個性と呼べるものが出てくるのはそれからでしょう。
まずはひたすら技術を磨かねば。世界を広げ、世界を狭め。外を見、内を観です。
最終的にはシンプルにもしなくては。
また、なんのこっちゃですが;
果てしないからこそやり甲斐があるのです。

品質ワークショップ

先日SCAJ主催の第2回品質ワークショップに参加してきました。

時節柄か、今年の参加ロースターは40と昨年よりも少なかったのですが、
そのぶん本気度は上がってたように感じます。
遊びと言うか、お祭りというか、浮かれた感じは少しもなく
会場はほどよい緊張感に包まれていました。
極端に変な焙煎の珈琲もなく、
カッピングに関しても点数のばらつきは少なかった気がします。
私も少しは成長したようで、緊張で右も左も・・・な昨年より
集中して味をみることができました。

40カップを8つのテーブルに分けてカッピングして
各テーブル1位のコーヒーが決勝ラウンドに進めます。
残念ながら私のコーヒーは残れませんでした。。。

決勝で私が高得点をつけた豆は対照的でした。
最高点は浅煎りの好例。
フレーバーをばしっと出しているのはもちろん、
酸・甘さ・マウスフィールのバランスが絶妙な「点」でとれてました。
私も詰めてこう焼きたかったという本当にお手本的な例。
全員の評価も非常に高く、これがこのコーヒーのまさにベストポイントでしょう。
後で聞くと私と同じテーブルのNo1でした。
テーブルリーダーの方曰く、私のコーヒーは次点で最後まで競っていたそうです。
光栄ですが、私的には点数の開きもありますし、ただただ完敗の一言。
それぐらい非の打ち所の無い素晴らしいコーヒーでした。
しっかりと味作りもしてきたそうです。

次点は深煎りの好例。
焙煎がかなり深く、そのせいで少し点数的な不利が出ており、
みなさんの評価もそこまでは高くはなかったのですが、
抜けやすいこの豆をここまで深く焼いた上でしっかりと酸を残し、
かつ滑らかな良いマウスフィールを維持できていたのはこのコーヒーだけで、
この味はちょっと今の私の焙煎の延長上にはなく、
これも技術だなあと、味よりもそちらに感激。
尊敬の念を込めて高い点数をつけました。

今回行われた40人のプロが焼いた40の豆の味の検証。
同じ豆で、違う焙煎環境で、述べ100回以上(?)のテストローストなんて
普段は絶対にできません。この素材に関して味の全貌はかなり見えたと思います。
そこからフィードバックして、個人の技術も見えてきます。
名だたる名店、意識の高さもあってさすがにみなさんレベルが高いです。
嫉妬するような素晴らしい技術にも会う事ができました。
私の技術も、現状思いのほか悪くないようです。
伸びしろと詰め方の確認もできました。

プロのくせに焙煎の勉強なんていうのも変な話です。
ただ、一人前になるための勉強と一人前になってからの勉強は
意味合いが全く異なると思うのです。
プロになってからの勉強の方が大変です。
スタート地点ははっきりと見えますが、ゴールは見えませんから。
技術的にスタート地点付近に停滞していても
やりようによっては十分食べていけるでしょう。
食べていければプロといえばそうなのでしょうが、
私が願うのは限りなく高い焙煎の技術を体得する事、
その技術でもってお客様に奉仕すること。
そのためには勉強あるのみです。
今回のワークショップも大変有意義でした。

徹底して良い液体を作ること、作った液体をおいしいと感じていただく事。
両輪どちらも大切だなと感じた東京での2日間でした。

原点回帰


東京南千住のバッハにきています。研修中通いお世話になったトレセンで焙煎のチェック&新入荷豆のカッピング。その後カフェでタンザニアとドミニカを頂きました。何もかもが心地よい完璧なサービス。あらためて人の感じるコーヒーの「美味しさ」とは液体の成分のみでない事を確認した次第です。

切磋琢磨

深夜。
太宰府の蘭館さんにて怪しい会合。
参加者は福岡南らへんロースターズギルドの面々。
蘭館のTさん、筑紫野萌香さんのHさん、ダートコーヒーのMさん、+私の4人。
各ロースターが全く同じ豆を焙煎して持ち寄り
ブラインドでカッピング(味をみて採点)するという試み。

焙煎技術はロースターにとっては門外不出、秘中の秘。
プロが別のお店のコーヒーを飲むことはあっても
同じコーヒーを焼いてお互いの焙煎技術について語り合うという事は
あまりないのではないでしょうか。

ブラインドでカッピング、採点して、一人一人感想を述べます。
プロの技術者に自分のコーヒーの味をとられるということは
上手も下手も白日の下に晒されるというわけで、そりゃもうドキドキです。

コーヒーの味は素材で決まる部分もありますが、やはり焙煎で大きく変わりますね。
今回持ち寄った4人のコーヒーもやはり全然違った味わいでした。
各自自分の目指す方向性の味を出していたというのが印象的で、
さすがだなと思いました。
個人的にはあのコーヒーのあの部分とこのコーヒーのこの部分を
うまくミックスできたら最高だなと思いました。

焙煎士にとって焙煎、コーヒーの味作りというのはとにかく個人的な作業です。
こういった他人の技術をみる、自分の味を見直すという機会は貴重で、
大変勉強にもなります。

実はこれ、東京で行われるワークショップの余興、前哨戦です。
本番は明後日。
全国から50近くのロースターが同じ豆を焼いて持ち寄ります。
いったいどんなコーヒーに会えるのでしょうか。
また私の焼いた豆はどういった評価を受けるのでしょう。
ちょっと怖いけど、楽しみです。

18日(木)19日(金)は店主研修のためお店はお休みとさせていただきます。
20日(土)は通常通り営業いたしますので、どうぞよろしくお願いします。

SCAAカッピングジャッジセミナー

これだけの内容の講義や試験をカンヅメで受けるという経験も
中々できる事ではないと思います。
私の人生においても非常に有意義な一週間を過ごす事ができました。
もう一度受けろと言われたら本気で悩みますが。(^^;)

何はともあれ、家族の支えもあって近年にない集中力を発揮。
全力は出せた、出し尽くせたと思います。


講師の方と記念にパチリ。
マネ・アルベス氏と一週間通訳もしていただいた
珈琲工房ホリグチの伊藤先生です。

気になる試験結果については発表までまだ時間がかかりそうです。
中に一つ記述式の問題がありそれだけアメリカに持って帰った後、翻訳-採点されるそう。
それ以外の18の試験に関してはパスしてますのでその結果待ちです。
無事合格してると良いのですが・・・あとはただ祈るばかりです。

帰りよっと


無事全日程が終了。長い、長い一週間でした。緊張から開放され疲れがどっとでています。久々のビイルを前にカイジばりに震える手(笑)。今から博多に帰ります。

お客様にはご面倒をおかけしました。明日より通常通り営業いたしますのでよろしくお願いします。

五日目終了


今日は少し早めに終わったので三ノ宮で大阪在住の同期のRさんと久方ぶりの再会。Rさんは大のお酒好き。バッハでは一日終わった後一緒に「大林」で飲むのが楽しみでした。ただ今回は私に付き合ってもらいカフェラでお茶。その後蕎麦食べながらお互いの近況報告。気分転換にもなり力が湧いてきました。

ついに


ホテル暮しが新居での生活日数を超えました。サトミ君はお父さんの事を忘れてるかもしれませんね・・・(T_T)ネットを見る手段やテレビ見る暇もないので浮世離れした生活を送ってます。これも携帯で書いています。最近は朝の8時から19時くらいまでラボでカッピングしたり、香料嗅いだり、様々な酸を添加したコーヒー飲んだり。その合間に座学と試験を受けたり。終わるとホテルに戻って深夜まで予習復習。まさに一日中コーヒー漬けで、それはそれで充実して幸せなんですが、試験というものがあるため体調管理が大変です。味覚嗅覚がいかれたらアウトなんでラボを出てからはホテルの中や寝る時までずっとマスクを着用。食事の量や時間にも気を使っています。お酒はもちろん香りの強いものや熱いものも食べられません。これが辛い。ビタミンは出来るだけ取るようにしていますが。これだけ節制しているのに肌が荒れてきました。ストレスでしょうか。確かに時々叫びたくなったり、逆にふっと集中が切れて固まったり。情緒は不安定気味。サトミとビイルと
火鍋城の坦々麺が恋しいです。。。