「日田シネマテークリベルテ」さんで体験型のコーヒー焙煎教室をさせていただきました。焙煎体験は隔月ペースで行っているコーヒー教室の「応用編」の一つです。野外で行うのでたいてい春か秋、外で過ごしやすい季節に開催しています。当日は台風が接近中だった事もあって天気が心配でしたが、ぎりぎり持ってくれて参加者全員無事に焙煎を終える事が出来ました。
焙煎は難しい?
「コーヒーの焙煎」と聞くと、多くの方は、良くわからないけどなんだか難しそう、といったイメージをお持ちのようです。
しかし、実際にはコーヒーの焙煎はかんたんです。
コーヒー屋になって商品を作る、となると途端にハードルが上がりますが、コーヒーの生豆を‘自分がおいしく飲めるようにする’のはやってみるとそれほど難しい事ではありません。難易度でいえば、かまどでご飯を炊く、くらいのものでしょうか。
さあ、焙煎してみましょう!
準備するのは
- ガスコンロ(炭火でもOK!)
- 手網(銀杏用やゴマ煎り用で大丈夫。ムラが出来やすくなりますが焙烙やフライパンでも代用可能です)
- 軍手
- 冷却用のうちわ
- 生豆(なままめ)
これだけあれば何とかなります。生豆以外はホームセンターで全て揃います。生豆も近所の自家焙煎店に分けてもらったり、最近ではインターネットで販売している所も増えてきているので意外と簡単に手に入れる事ができます。
焙煎スタート!
ガスの火力は一定にして、火からの距離で火力を調整します。直接火を当てて焼くというよりも、火から上がってくる熱風で焼いていく感じです。屋外の焙煎では外気温や風等の影響を受けやすいので、かざした手のひらで火加減をチェックしながら焙煎していきます。焙煎が進むとわりと多めの煙や匂い、そして「チャフ」と呼ばれる薄皮が出ます。室内で行う場合はコンロ周辺の片付けや部屋の換気、家人の了解など何かと注意が必要です。
水平方向にシャカシャカと振り続けます。ムラにならないよう頑張って!左はミニミニ焙煎器。くるくる回すだけで撹拌ができるのでとても楽です。集中して振っていると時間が経つのを忘れてしまいます。気が付いたら30分以上も振り続けていた、なんてことも良くあるのでストップウォッチがあると便利です。
色や音、香りの変化を感じながら、頃合いを見て好きな所で煎り止めしましょう。
完成!お疲れ様でした!
当日は16名の方に参加していただきました。まずは事前に準備していた焙煎度違いのコーヒーの飲み比べをして焙煎による味わいの変化を確認してもらいます。そして自分の好みの味になりそうな焙煎度合いを決めてもらって焙煎開始。少しだけアドバイスをしましたが、みなさん思い思いに焼き進めていただきました。うまくいった方、多少狙いとずれてしまった方、すごーく時間がかかった方、16通りの色々な焙煎がありましたが、細かな所はあまり気にしなくても大丈夫です。自分で焼いたコーヒーの味は格別ですから。焼いた豆は全てお持ち帰りいただきました。「焼きたて」は本当に美味しいのか、焙煎直後から日に日に変わっていく味わいの変化も楽しんでもらえると嬉しいです。
コーヒー発祥の国、エチオピアには自宅で焙煎したコーヒーを客人に振る舞う「コーヒーセレモニー」という文化があり、行く先々で女性がフライパンで焙煎した「我が家のコーヒー」を作って出してくれました。私たちが普段行っているコーヒー作りに比べるとだいぶ大らかなやり方ではありますが、どこで飲んでも美味しくて、感動しました。
コーヒーは工業製品ではありません。赤い植物の実から、黒くて、苦くて、ほんのり甘い不思議な液体になるまでには色々な人の「手」がかかっています。自分で焙煎を行い手作りのコーヒーを作ってみることでまた違った見方が生まれ、普段飲んでいるコーヒーがより「おいしく」感じる事になる、かもしれません。
それよりもなによりも、コーヒーの焙煎自体とても楽しい事なので、是非、ご家庭でも気軽に楽しんでみてください。