ストレスのない抽出

こんにちは。普段はハンドドリップで抽出する事が多いフクマメ店長です。

コーヒー屋をやっていると
「抽出の際に気を付けている事は?」
と聞かれる事が良くあります。

「計れるものは計る」とか「抽出されている粉や液体の状態をイメージする」とか、技術的なものは色々とあるので、大抵その辺りを答えているのですが、実は自分の中で一番気を付けているのは「豆(粉)にストレスを与えない」という、なんとも抽象的でふわっとした事だったりします。

ストレスを与えないと言っても「お湯の中に粉を静置する」といったものではありません。抽出とは粉の中の物質をお湯に引っ張り出す行為なので、必要に応じて刺激は与えるし、場合によっては積極的に粉を動かしてもいきます。ただ見た目的にラフに見える部分があったとしても、その一つ一つの意味を考えながら、けして「無理」や「無駄」をしない、させない。そんな感覚で入れています。

ジェントルな抽出、とでも言うのでしょうか。そこらへんに気を遣いながら入れていくと、なんだか豆も気持ちよさそうに応えてくれる感じが見て取れますし、出てくるコーヒーもまた「無理やっこ感」のない、素直で良い液体だったりもします。

(ちなみに、この淹れ方を突き詰めると「豆自身が抽出されている事に気付かない」くらいストレスのない抽出が理想となりますが、それは本当に難しく、百回に一回でも出来ればすごいと思います。毎回そんな抽出が出来る人がいたら、それはもう人ではなくて仙人です)

 

 

ハンドドリップで意識している事は他の器具で抽出する際も自然と行っています。

ハンドドリップの様に手を加えられない所は「レシピ」の部分で調整してストレスをかけないようにしますが、そこを意識すればするほど工程は細かく複雑なものとなり、再現性は低くなってしまいます。

ではシンプルなレシピが良いかと言えば一概にそうとも言えません。味のコントロールのし易さや再現性の面では有利で、味を少しだけ良くするのは簡単なのですが、一定以上上げていこうとすると意外と早く限界が来ます。そしてなにより「粉にストレスかかってる感」が顔を出してくるのです。

この辺は本当に難しいのですが、あれこれ試行していると、結局のところ粉にかかるストレスを減らすための肝はレシピそのものにあるのではなく、レシピとレシピの間、「行間のつなぎ方」にあるのかな、と最近思っています。

車の変速機と似たような感じでしょうか。
段数が少ない方がシンプルで楽だけど、どうしても変速時のショック(ストレス)は大きくなるし、やれる事も少なくなる。

逆に多段化した方がショックは少なくてトルクもおいしい所が使えて良い。ただ、それも「つなぎ方」次第で、そこが上手くないとただ「下手が下手する機会」が増えるだけで確実に良くなるとも言えない。。。

つまるところ、私は車で言うCVTの様なシームレスで無段階な抽出を理想としているのかもしれません(CVTのフィーリングは苦手ですが)。

そしてそれをするとなると結局ハンドドリップ(とくにネル)が良いよね、って所に落ち着いてしまうのです。

 

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